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東京 新島

石室(仮)

2024/3-

伊豆諸島の新島では世界で唯一、他に類を見ない性質を持つ抗火石を採掘している。

しかし抗火石の建物は年に十数件を超える速さで消失し、保存活動が追い付いていない状況にある。

自ら設計者として新島に移住して、島に残っている抗火石建築物をリサーチし、試験的に小さな坑火石の小屋を建てる計画を熾した。

鋸で切断できる加工性、気泡を含むスポンジのようなしなやかさと断熱性、潮風にも影響を受けない耐食性、セメントとの食いつきが抜群な粗い表面、珪素を多く含むため表面を高温で炙るとガラス化する質感等、建材の性能としてはもちろん意匠性の可能性も感じさせられる素材である。

そんな希少価値の高い建材が新島ではゴミとして打ち捨てられている現状に危機を感じ、自らの手で素材に触れ、先人の知恵も借りながら現地でチームを組んで少しずつ進めている。

抗火石文化の危機に瀕している現地で廃材とされている石を回収しながら様々な可能性や側面を持たせる意味を噛みしめ、建築に落とし込む。

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